◆「アート」への苦手意識が払しょくされる1冊。

美術の授業が好きではなかった学生時代。

突然ですが、質問です。
みなさんは、美術の授業、好きですか?

私は、正直なところ、学生時代の美術の授業の成績は、お世辞にも良いとは言えませんでした。

『絵の上手い友達を見ると羨ましい…それに比べて自分は…』

ずっとこんなふうに、思っていたんです。
「気にしい」な私は、上手な絵を描けない自分がコンプレックスでした。

さらに、大人になってからは、
「美術館巡りが趣味」って、ずっと言ってみたいと思っていました。
何度も、美術館に挑戦したんです。
実際に行ってみると、絵の前でじっくり立ち止まることなんて皆無で、
滞在時間、ものの数十分。スーッと会場を一周して、おしまい。

ひとところに留まることができないのです。

近年、アートブームがビジネス界を席巻。焦りを抱く。

近年、ビジネスパーソンの間では、空前のアートブーム。
山口周さんの『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』をきっかけに
ビジネスマンにとって、アートは一般教養だ、という風潮が強くなり、
アートに苦手意識を持っていた私は、肩身の狭い思いをしていました。

そこで紹介されたのが『13歳からのアート思考』

雑談の中で友人から紹介された、『13歳からのアート思考』という本。
タイトルに『13歳からの〜』と書いてあるくらいだから、
倍以上生きている「35歳」の私にも、ついていける内容に違いない、と思い
Amazonで即購入しました。

著者は、現役の美術の先生!

著者は末永幸歩さん。

美術教師/東京学芸大学個人研究員/アーティスト
東京都出身。武蔵野美術大学造形学部卒業、東京学芸大学大学院教育学研究科(美術教育)修了。
東京学芸大学個人研究員として美術教育の研究に励む一方、中学・高校の美術教師として教壇に立つ。現在は、東京学芸大学附属国際中等教育学校で教鞭をとっている。

https://diamond.jp/ud/authors/5e4a628b7765615442010000

現在、中学校で美術の先生をされているということで、文章も、とってもわかりやすい。
実際に目の前で教わっているかのような文体で、抵抗なく読み進めることができます。

届いて、さっそくパラパラめくってみると、
\オールカラー、文字も少なくて読みやすそう…!/
というわけで、週末にさっそく読み始め、なんと、2日で読了!

◆アートの見方に「正解」はない

読み終わった私の感想。
それは、「今まで、なんてガチガチにとらわれていたんだろう…」ということ。

  • 作品が作られた時代背景
  • 作者が製作に至った背景
  • 解説集にある「解釈法」

これらの「見方」が、
鑑賞者(私)にもそのまま出来なければいけない、と思い込んでいたんです。

でも、『13歳からのアート思考』で教えてくれるのは、それとは真逆のこと。

もちろん、時代背景や、作品製作に至った経緯などの情報を知ることは大切ですが、
それよりも大切なのは、

\私自身が、この作品を目の前にして何を思うか?/

ということだったのです。

本書の中で紹介されていた、面白い「見方」の中でも
すぐにでもできそうな「アウトプット鑑賞法」をご紹介します。

【オススメ鑑賞法】アウトプット鑑賞法

やり方は簡単。
作品に何が描かれているか、ひたすらアウトプットしてみる。
それだけ。

例えば…
「この人の洋服はピンク色で描かれている」
「真ん中の人物の顔が、ほかの人と比べてものすごくゆがんでいて悲しそう」
「おっ、ここになんだか動物がいる」
「なんでこんなに輪郭がぼやけているんだろう」
などなど。

これによって、「あなた独自」の解釈方法が生まれるんです。
そう、アートの解釈方法は、解説集に書いてある1つだけが「正解」ではないのです。

これ、私が尊敬する‪荒木博行さんが、ご自身の番組「‪荒木博行のbook cafe」で話されている『本の「誤読」』に似てますよね。

本もアートも、解釈は読者・鑑賞者の手にゆだねられている…。
アート鑑賞も、読書と同じくらい肩の力を抜いて行えばいいんだ、と思えます。

私が本を読むときに作る、「質問」。本を読む、という行為に目的意識が生まれるのでオススメです。

♦︎明日から、美術の授業が、もっと楽しくなる…はず!

私に起きた変化:「美術館へ行きたい!!」

緊急事態宣言で閉館していた美術館。
外出自粛中に、お友達から紹介してもらった原田マハさんにハマり、『デトロイト美術館の奇跡』『暗幕のゲルニカ』『楽園のカンヴァス』を3冊連続で一気読みしました。そして、「美術館に行ってみたい!」とうずうず。

さらに『13歳からのアート思考』読了をきっかけに、さらに美術館に行きたい欲が高まりました。
2020年7月現在、平常運転に戻った美術館も多いので、『13歳からのアート思考』片手に、美術館巡りをしてみたいな、と思っています。

いつか私も、「美術館巡りが趣味」って言いたい。

みなさんも、『13歳からのアート思考』読了をきっかけに、きっと、明日からの美術の授業が楽しくなるはず!

美術の授業って、なんだかかったるいなぁ…
そんなふうに思っていた方も多いと思います。

自分たちが作った作品は「うまい・へた」で判断されてしまいがちです。
でも、その「うまい・へた」って、果たして本当に正しいの

「ピカソの作品はスゴイ!!!」って手放しにみんな絶賛するけれど、いったい何がスゴイの?

アートには「これが上手で、これが下手」だとか
「この作品は、こう解釈せよ」という正解はありません
みなさんの感性にゆだねられているのです。

『13歳からのアート思考』は、美術ってかったるい…そんな風に考えていた皆さんにこそ読んでいただきたい一冊。

きっと、これまでの「美術」という授業のあり方から開放されて、作品ひとつひとつと向き合うことができるようになります。