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21世紀型の幸せ人生の学び方・育て方②セルフ・エスティーム(自尊感情・自己肯定感)で育てる幸せ力
今回は「セルフ・エスティーム(自尊感情・自己肯定感)」についてお伝えします。皆さんにぜひ大切にしてほしいこととして前回の記事で挙げた以下の3つは
- セルフ・エスティーム(自尊感情・自己肯定感)
- コミュニケーション:人とコミュニケーションし合う力
- 協力:人と協力し合える力
21世紀の地球人として生きていくために大切な柱(グローバル教育)であるこの力を育むことで、どんな世界でも胸を張って、笑顔で幸せに生きていける人になれる、というものです。
・セルフ・エスティーム(自尊感情・自己肯定感):自分を大切に思える力を育てよう
セルフ・エスティーム(自尊感情)は、「自己肯定感」とも言われ、自分を大切に思える力のことであり、それを育てることが幸せ人生を実現するためにとても大事な力です。ちょうど本サイトにとても分かりやすい素敵な記事をmimiさんが書いて下さっているので、ぜひそちらを読んでみてください。
『自分をまるごと好きになろう』mimiさん
良く「我儘(わがまま)とどう違うのですか?」と聞かれますが、セルフ・エスティーム(自尊感情)は、自分の存在を肯定し、その存在意義を認めて受け取ること、つまり、「生きていることの価値を自分でしっかり掴んでいること」です。自分を客観的に見つめて、自分像をしっかり掴んでいる状態をイメージしてみてください。
それに対して、我儘はその文字が示す通り、自分が良いと思えば無理にでも押し通す、つまり相手や周囲に対して自分を押し付ける意味が含まれます。
ですが、セルフ・エスティーム(自尊感情)、つまり自己肯定感が高まり、一己の人間としての存在意義の大きさを理解し受け止められるようになると、他人や周囲の人々も自分と同じように尊い存在(命)であることが分かってきますので、我儘はむしろ鳴りを潜める、と思ってください。
・「自分を知る」ことから始めよう
では、セルフ・エスティーム(自尊感情・自己肯定感)はどのように育てていったらよいと思いますか? 私のお勧めは、まず「自分を知る」ことから始めることです。
これまで私は25年以上、教育(学校の先生、校長・教頭、教育委員会職員など)や医療(医師や看護師、医療技術者など)始め、様々な分野で人材育成に関わり、多くの人たちに出会ってきました。その中で、幸せな人生を手に入れ、自分の望む未来を実現してきた人たちに共通していたのは、なんだと思いますか?ーそれは、「自分(己:おのれ)を知っている」ことでした。
「自分を知る」というのは、長所も短所も含めてすべて、ということです。
思春期の皆さんの心の中にはいろいろな感情が渦巻いていて、「自分を知る」こと=自分と向き合うことへのハードルは、少し高いと感じる人もいるかもしれません。
けれども、できればそうした感情(特に負の感情)は一旦脇に置いて、客観的に冷静な目で一度ご自身を見つめてみて欲しいのです。
・長所(強み)が最高の人生戦略になる
「自分を知る」には、まず長所を把握することから始めてみてください。なぜなら、長所(強み)を把握し、それを生かして成長を図ることが最も有効な人生戦略になるからです。
RPGなどのゲームを思い浮かべてみてください。様々なキャラクターが登場し、それぞれの個性と長所(強み)を生かした戦略が最も効果的ではありませんでしたか?
私たちはみな生まれながらに異なる個性を持っています。その中には長所(強み)もあれば短所(弱み)もある。だとしたら、個性を生かして存分に力を発揮して幸せになるためには長所(強み)をしっかり生かすことが大事ですよね。例えば、剣術に優れた戦士に魔法使いの修行を無理強いするのはもったいない、宝の持ち腐れですよね?
それに、人間は良いことと悪いこと(Good & Bad News)は、良いものの方を先に聞いた方が身に入りやすいと言われています。ですからまずは朗報(Good News)から先に皆さんの脳に溜めていって、幸せ力を引き出す力を育てていきませんか?
・長所(強み)の見つけ方
高校で出前授業を行う時、冒頭で生徒の皆さんの長所は?と尋ねると、みな首を捻ったり、恥ずかしそうになって、「私・僕に良いところなんてある?」「あれもできないし、これもだめだ」なんて言い出したりします。
でも本当にそうでしょうか?
学校や友達関係では、皆さんはつい自分を下に見せたり、謙虚になり過ぎたりする癖がついていませんか?それを全部ダメと言ってるのではありません。なぜなら、そうすることによって皆さんは、同調性圧力の強い日本社会や仕組みの中で自分を守ってきたのだと思いますし、いまの環境を生き抜く知恵として活用してきた側面もあると思うからです。
けれども、残念ながら、そのままでは皆さんの中に眠っている大事な「幸せ力」を引き出し難いのも事実です。皆さんがこれからの未来に自分を生かして輝きたいと思うのであれば、まずはしっかりと自分自身と向き合って、自分を把握していく必要があるのです。
ですから、ここでは自分へダメ出ししたい気持ちを一旦、脇に置いて、止めます。
これを読んだ今日だけでも、おおらかな気持ちになってご自分に温かい光のシャワーを浴びせるのをイメージしています。
そして、ご自分で「ここは長所かな?」と思うことを書き出してみましょう。紙に書いても、スマホのメモアプリなどを使ってもOKです。自分に使いやすいものを選びましょう。
長所に注目する、というと、なんだか自分を自慢するみたいで気が引けますか?皆から自意識過剰とか言われそうで怖いですか?それなら、最初の「自分と向き合って長所を見つける」作業は、1人になれる時間と空間を見つけて、1人でやってみましょう。
すぐに思い浮かばなかったら、これまでを振り返って、誰かに褒められたこととか、自分が達成して嬉しかったことなどを思い出してみましょう。ご家族や幼馴染などに話を聞ける場合は、幼いころの記憶をたどってみて、印象に残っていることなどを教えてもらいましょう。
また、自分にはとても簡単にできてしまうことなのに、意外にも周りではそうではなくて、すごいね、などと言われたことがあれば、それも書いてみます。
あるいは、時間を忘れて熱中したことはありませんか?誰にも勧められたわけでもないのに気付いてたら夢中になっていたことなどがあれば、それも書いてみましょう。立派な長所です。
もし「ひとつも出てこない」「ある気がしない」と感じたら、自分への批判や非難の矢を射り過ぎている可能性が高いです。その時は、眼を閉じて、そうした矢を全部引き抜いて「よしよし」と自分の心の穴をやんわりと温かいエネルギーで埋めていくようなイメージで、癒してみましょう。
・長所(強み)が見つかったら
さて、長所(強み)には何が出てきましたか?
それらを組み立てて未来に生かすとしたら、どんな勉強をして、どんな情報を集めていけば良いと思いますか?ぜひご自分なりの戦略を立ててみてください。
私たちにはみな長所があります。そして、それを自覚して自分のため、周囲のために使うことができる人は、幸せへの近道を歩くことができます。人間ひとりの力はささやかなものだけど、周囲の協力を得ることができれば、それは何百倍にもすることができるし、自分の力を使いこなしている人は内面から輝いていて、自然と周りに人が集まってくるのです。ぜひご自分の長所を生かす人生を目指してください。
・自分の取説:短所も上手くコントロールしよう
その一方で、もちろん、誰にも長所と短所がありますから、短所を自覚して上手くコントロールすることも大事です。
つまり、自分の長所・短所、得意・不得意を熟知して、自分の扱い方をマスターする、ということです。「自分の機嫌を自分でとれる」ことが、人として成長する上でとても大事なことなのです。
でも、「言うが易、行うは難し」で、大人でもそれができている人は多くはありません。だからこそ、皆さんには高校生の今からそれをスタートさせて、ぜひ体得してほしいと思うのです。
例えば、もし短所が前に出ちゃいそうだ、と判断した時は意識して冷静になる時間を設けたり、自分が苦手なことは無理にやらずにそれが得意な人に頼って任せたりしながら、得意なところで助けてくれた人たちに恩返しすることもできます。そして、それは練習を重ねれば重ねるほど、上手になります。
また、短所を覆いつくして見えなくなるほど、長所を生かして伸ばしてしまえばよい、という考え方もあります。物事には必ず裏と表があるように、短所のない人間などいません。ですから、大切なのはそれとどう折り合いをつけて、上手くコントロールしながら人生を豊かに楽しく幸せにしていくか、を体得することです。つまりは、自分自身の取説を自分で作って、それを成長と共に書き換えながら最善を尽くしていくことだと思うのです。
皆さんそれぞれの長所を見出し、人生戦略を練る上で大切な要素をしっかりと把握して生かしながらセルフ・エスティーム(自尊感情・自己肯定感)を高め、幸せ人生を実現する力を育んでいって下さい。
永堀宏美