みなさんこんにちは!
日々成長中の子どもたちも子育て中のお母さんも応援したい、児童精神科医のなおちゅんと申します。
今日からこちらに記事を書かせていただくことになりました。
どうぞよろしくお願いします。

今回は、高校生のお子さんを子育て中のお母さんからいただいたこちらのご質問を取り上げてみました。

「朝から晩までスマホ漬けです。
 ゲームとLINEをやっているようです。
 どうすれば、もっと外の世界に興味をもってくれるのか知りたいです。
 海外留学もさせようと画策しましたが、それも興味なかったみたいで失敗しました。
 もっと広い世界があることを知らせたいと思います。」

お子さんのインターネット依存が心配…と思っておられる親御さんはきっとたくさんいらっしゃると思いますので、これから2回に分けてインターネット依存についてお話しします。
まず今回は、インターネット依存ってどんなものなのかをご一緒に見ていきたいと思います。

日本の中高生の約 52万人にインターネット依存症の疑いが!

インターネット依存症(ネット依存症)とは、インターネットの世界に入り込み過ぎ、常にネットに触れていなくてはいられない状態のことです。小学生くらいから高齢者まで幅広くみられ、中高生のネット依存症も急増しています。

厚生労働省の研究班が2012年4月に全国の中学・高校計264校を対象に「インターネット依存」に関する初の全国実態調査を行い、約10万人の回答を分析した結果、ネットへの依存性が極めて高い「病的使用」と考えられる中高生は 8.1%でした。全国にはおよそ51万8000人いると推計されています。

平日の勉強以外のネット使用時間は、「1-2時間」が最も多くなっていますが、「5時間以上」という子どもも少なくありません(高校生男子の13.8%、女子では15.2%)。さらに休日となると、高校生の20%強が5時間以上利用していました。

ヨーロッパ諸国で行われた同様の調査結果と比較すると、インターネット依存が強く疑われる日本の中高生の割合は約2倍。
かなり深刻な状態と言えそうです。

男子はオンラインゲーム、女子はSNS

インターネットを介してのめり込む対象はさまざまですが、男子はオンラインゲーム、女子はLINEなどのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)に依存しがちな傾向があるようです。

SNSでは「すぐに返信しなくてはならない」という暗黙のルールがあるのか、どんなときもスマホを手放せません。病的使用が女子に多いのはこのためと考えられます。

男子に人気のオンラインゲームはプレイヤー同士がパーティーを組んでプレイするようなものも多く、友達に付き合って深夜までゲームに没頭したり、オンライン上で知らない人と交流を深めたりするなど、ただ「本人がゲームに夢中になっている」以上の難しさが重なっていることが多いようです。

どちらにしても、親の私たちは自分自身が高校生の頃には経験してきていないもの。
利用時間を減らしたほうがよさそうだと本能的には感じるものの、どこから手を付けたらいいのか悩みますよね。

まずは状況把握から

インターネット依存症かどうかにかかわらず、インターネットの使用時間や利用しているサービスなどを把握しておくのはとても大切なことです。

「インターネット、やりすぎ!」と頭ごなしにいう前に、まずは子どものインターネット使用状況を観察してみることが必要です。以下に挙げたような点に注目してみてください。

使用時間

できれば使用時間は1日2時間以内に抑えたいものです。使用時間が長過ぎないか、暇さえあればやっていないか、深夜に使用していないか、家族に隠す態度はないか、などよく観察してみましょう。繰り返しますが、長過ぎると叱るのではなくまずは「観察」です。

コンテンツ

本人がどんなインターネットサービスを利用しているのか、直接聞いて確かめてみましょう。曖昧に言ってごまかそうとするかもしれませんが、しっかり話し合う必要があります。
親の予備知識が追いつかないこともあると思います。難しいかもしれませんが、問い詰めるのではなく、興味を持って「もっと知りたい、詳しく教えて」という姿勢で関わってみてください。お子さんも自分の好きなことや得意なことを聞いてもらえると感じたら、たくさん話してくれるかもしれません。

ネット上の交友関係

インターネット上の友達にも関心を向けてみてください。お子さんがSNSを楽しんでいる場合、特に見知らぬ人と交流しているときは、どんな人とどんなやりとりをしているのか詳しく聞いてみましょう。インターネット上の友達に親が関心を示すことでトラブルのリスクを減らすこともできます。

また、SNSでのプロフィール情報の公開範囲、個人情報の書き込み、自分や友達の写真の投稿などについて、実際にそのサイトを見せてもらって確認できると安心です。
できれば、情報の公開範囲は実際の(現実世界の)友達までに留めたいものです。

生活習慣など

生活習慣の乱れ、表情や雰囲気の変化にも気をつけましょう。
ネット依存症に陥るとたいてい睡眠障害が起こります。朝の起きづらさや体調不良で遅刻や欠席がみられることもあります。食事をきちんと食べない、入浴を面倒くさがる、髪形や服装など身だしなみが乱れる、など生活全般がだらしなくなっていないか気に掛けてみてください。食事中のスマホチェックや、トイレや布団の中までスマホを持ち込む行動はちょっと重症かもしれません。

インターネットに夢中になると、心ここにあらずという感じで、何を聞いても生返事や的外れな受け答えになることがあります。インターネットの世界ではイキイキしていてもリアルの世界では生きている実感が持てず、無気力・無表情になったりもします。
言葉遣いが乱暴になったり、いつもイライラしていたりすることもあります。

また、これまで熱心にやっていたこと、好きだったことにまったく興味を示さなくなり、雰囲気や性格が別人のように変わってしまうこともあります。

親自身のインターネット利用

親のほうも、自分がインターネットとうまく付き合っているか、見直してみることが重要です。子どもの目の前でクレジットカード決済のオンラインショッピングをすると、カード番号と有効期限を入力するだけで気軽に買いものできると子どもが知ってしまうかもしれません。また、親がインターネットに夢中になって、子どもが話し掛けてきてもいい加減な受け答えをしてしまったり、暇さえあればゲームをやってばかりだったり…といったことはないでしょうか?

子どものインターネット利用の問題に取り組む前に、親自身もインターネットとの付き合い方も改めて考えてみるとよいかもしれません。

おわりに

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

インターネットやゲームへの依存はとても大きなトピックスなので、ついつい長くなってしまいました。ネット上のコンテンツは大人にとっても魅力的なものが多く、たくさんの人が夢中になりやすいように作られているので、誘惑に抗うのは大変ですよね。
次回は、お子さんのインターネット依存に関して家族にできることについて書いてみようと思います。

参考:樋口進 監修 ネット依存・ゲーム依存がよくわかる本( 講談社)