こんにちは、本・人出会いクリエイターのまるこです。

今月も、高校生のみなさんに読んで欲しい、そんな1冊をお届けいたします。

ホットな今のうちに読んでほしい、話題の書。

今月は、大西康之さん著の 『起業の天才!: 江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』をご紹介します。高校生の皆さんには、まだちょっと早いかな…?とも思いましたが、本書が書店をにぎわせているうちに、ぜひお勧めしたい!!

本書は、今や知らない人はいない日本を代表する会社「リクルート」を創業した、江副浩正氏(えぞえ ひろまさ)の記録です。

リクルートとは?

リクルートといえば、SUUMOやゼクシイ、リクナビ、R25(今は「新R25」としてサイバーエージェント子会社が経営)を生み出したことで有名です。結婚、就職、転職、住まいの購入など、人生の節目に頼りにするメディアは、必ずと言っていいほどリクルートが作り出したもの。

そして、社会に出てみると、リクルートでの経験を積んだあとに起業する人がものすごく多いことに気付かされます。たとえ役職はついていなくても、「社会をより良くしたい、そのためにはどうしたらいい?」という課題意識を持って行動する社員が集まってくること、そして、起業や新しいことに挑戦する人を後押しする、という社風が根付いていることが、その理由でしょう。

リクルートの原点は、困っている人同士をつなげること

さて、この「出る杭は打たれる」という傾向の強い日本では異色の存在のリクルート。冒頭で紹介したように、この大企業は、江副浩正氏が大学在学中に立ち上げた「大学新聞広告社」がはじまりでした。

今は「広告=ネット」が主流ですが、当時はインターネットなんてなかった時代です。彼らが手掛けたのは、大学構内で発行される新聞への、企業からの広告を受注してくること。でも、大学生に、単なる企業の宣伝なんか載せたって、喜ばれるはずはありませんよね。そこで、江副氏はひらめきました。「就職情報を載せたら儲かるのでは」と。「優秀な大学の学生が欲しい企業」と「コネ以外で、自分が本当にやりたいことに出会いたい学生」を結べば、win-winなのではないか。

この目の付け所は正しく、瞬く間に、広告枠が売れに売れていく。法人化し、どんどんビジネスのスケールを大きくし、「リクルート」に名前を変えます。そこからの会社の成長ぶり、そして世を騒がせたリクルート事件の顛末は、この記事で私が皆さんに訴えたいことの趣旨からは逸れるので詳述しません。気になる方は、ぜひ書籍を手に取ってみてください。(ちなみに、このリクルート事件をリアルタイムで経験した昭和世代にとって、本書はものすごくおもしろい1冊だと思います。あのときの報道にこんなウラがあったのか…という視点で読むと、また別の課題が見えてくることでしょう)

いつでも課題意識をもって観察する、ということ

私は江副氏の思考回路に「働く」の原点を見出します。

なんでも受動的になっていてはいけない。常に色々なことにアンテナを張って、主体的に生きなければいけない、ということを、江副氏は体現しているように思うのです。

起業家たちが起業に至った原点は、「あ、これ不便だな」とか「こんなサービスがあったら使うのにな」という気付きだった、というのをよく見聞きします。

つまり、思考停止状態で、与えられた課題を解決しようとするだけではなく、常に課題意識をもって、観察し続けることが、大事なんだ、というのを、江副氏に改めて教わったような気がします。

皆さんにとっては、まだまだ「働く」というのは先のことに感じられるかもしれません。しかし、若い今のうちに、少し背伸びをして本書を世の出、「こんなアツい思いをもって会社を興した日本人がいるんだ」という史実に触れるのもまたよいのではないかな、と。社会に出てから、「ああ、あのとき江副さんの本を読んでいてよかったな」と思い出す場面が必ず来るはずです。