登場人物

CPAみゆき

公認会計士(CPA)、大手監査法人勤務後、独立し個人会計事務所を経営。高校生と中学生男子の二児の母

としお

県立高校一年生。ゲームと動画観賞が趣味。将来は漠然とゲーム関係の仕事に進みたいと考えている。

Lesson1はこちら

株式会社って?

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CPAみゆき
としおくん、こんにちは。
前回はマネー教室第1回として、「初任給」について話をしたわけなんだけど。
https://koko-sei.com/money-lesson1/

学校を卒業して、まずは会社に入社する人が多いので、今日はその続きとして、会社についての話をしますね。
としおくんは、学校で会社について勉強したりしてる?
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としお
中学生の時に公民の授業でちょっと習った記憶はあるけど。
そこまでしっかり勉強したわけではないです。
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CPAみゆき
株式会社はわかるかな?
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としお
はい、一応。学校で勉強しました。
株式を発行して、お金を集めるって聞きました。
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CPAみゆき
そうそう、そのとおり。
株式会社は、「株式」を発行してお金を集める会社、ということで株式会社といいます。
株式会社では、経営者、つまり社長がいて、お金を出す人は別にいます。
会社は、別の人にお金を出してもらうために、「株式」を発行します。
会社は、株式を買ってもらってお金を集めるというわけ。
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CPAみゆき
この、会社を経営する人と、お金を出す人が違う、というのが、株式会社のとても大きな特徴なの。
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としお
そうなんですか。
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CPAみゆき
もともと会社は経営する人とお金を出す人が同じだったの。でも、お金を出すのが経営者一人だけだと、限界があるでしょ。
経営者が必ずしもお金持ちってわけでもないしね。

そこでできたのが株式会社。
一番古い株式会社は、17世紀にオランダで作られた東インド株式会社という会社。
その頃、ヨーロッパは香辛料を船での輸入に頼っていて、船を作ったり、航海するのにたくさんのお金が必要だったの。
東インド株式会社は初めて「株式」を発行して、たくさんの人からお金を集めて、そのお金で航海をして香辛料などを輸入したってわけ。
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としお
へー。株式会社ってそんな昔からあったんですねー。
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CPAみゆき
そうなの。
その後、株式会社がどんどん広まって、今のような形になったの。
会社のほとんどは株式会社なので、株式会社は現在の資本主義社会の根幹とも言えるのよ。

上場会社って?

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CPAみゆき
としお君、上場会社って何かわかるかな?
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としお
いや、上場会社、聞いたことがある気はするけど。。。
よくわからないです。
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CPAみゆき
スーパーに行くと、いろんな食品が買えるよね。
それと同じように、株式が売ってるスーパーのようなところがあるの。
証券取引所っていうんだけど。
そこに行くと、誰でも、いろんな会社の株式が買えるの。

その証券取引所に、株式を並べて、誰でも買ってもらえるようにするのが、「上場」という手続きなの。
上場会社は、株式を証券取引所に上場している会社のこと。
ここまで、いい?
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としお
はい、なんとなくわかりました。
食品をスーパーに並べるように、株式を証券取引所に並べる手続きが上場で、それをした会社が上場会社、かな。
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CPAみゆき
そうそう、そのとおり。
株式会社が上場すると、証券取引所でたくさんの人に株式を買ってもらえるようになるので、よりたくさんのお金を集めることができるようになるの。
それに、上場には厳しい審査があって、審査に通らないと上場できないので、上場会社は信用力も高いの。
就職でも上場会社の人気は高いのよ。
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としお
なるほど。
就職活動の時に会社を選ぶ基準になりますね。

株式の売買でもうかる?

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CPAみゆき
するどい。そのとおり。
で、会社は株式を買ってもらってお金を集めるんだけど、ただ単に買ってもらうだけじゃないの。

株式を買う人は、なぜその会社の株式を買うんだと思う?
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としお
うーん、株式って値上がりしたり、値下がりしたりするって聞きました。
安く買って、高く売ることができれば、もうかるから、かなあ。
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CPAみゆき
そうそう、そうなの。
株式は買うだけじゃなくて、証券取引所で売ることもできて、としお君が言ってくれたように、安く買って高く売れば、もうけることができます。

株式って、長期で持ってると、びっくりするくらい上がることがあるんだよ。
例えば、ファーストリテイリング、つまり、ユニクロの会社なんだけど、今株価が6万円くらいなの。
としおくんが生まれたのは2005年かな?
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としお
そうです2005年です。
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CPAみゆき
2005年のファーストリテイリング株価はいくらだったと思う?
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としお
うーん、3万円ぐらいかな?
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CPAみゆき
正解は、約6,000円。
15年で10倍にもなってるの。
100株単位で購入するから、としおくんが生まれた年にファーストリテイリングの株式を買っていたら、60万円が600万円になってたってこと!
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としお
60万円が15年で600万円!
もうけが540万円!!
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CPAみゆき
もっというと、22年前には1株1,200円ぐらいの時があるの。
さらにそのあと、1株を2株にする株式分割が2回実行されたから、22年前にファーストリテイリングの株を買っていたら、200倍にもなっているの。
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としお
えー!!信じられない。
1,200円で買っていたら、100株として12万円。
なんと、2,400万円!
家が買えそう。
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CPAみゆき
でもね、逆に業績が悪くなると、株価が下がって損をすることもあるの。
もし会社が倒産っていうことになると、投資したお金は基本的に戻ってきません。
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としお
・・・・・。

株式会社の本質は配当

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CPAみゆき
それでね、
株式を買う本質は、売ったり買ったりで儲けることじゃないの。
さっき、東インド株式会社の話をしたよね。
インドなどから輸入した香辛料はヨーロッパで高く売れて、莫大な儲けが出たそうよ。
東インド株式会社では、株式を買ってもらった見返りに、儲けの中から一部を出資者に還元したの。

これは今の株式会社も同じで、年に一度、会社によっては二度のところもあるけど、株式を買ってもらった見返りに、1株〇円、という形で、毎年株主にお金を払うの。
これを、配当と言います。
あ、今、株主って言ったけど、株を買ってくれた人を株主と言います。
株主と配当という言葉も、とても大事なので覚えておいてね。
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としお
株主と配当ですね。
株主は株式を買ってくれた人、ですね。
配当は、株式会社が儲けたお金から、株主にお金を払うこと。
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CPAみゆき
そうそう。
株式会社は集めたお金で商売をして儲け、儲けの中から株主に配当して、残ったお金でまた新たに商売をしてさらに儲け、という形で回っていくの。
これが株式会社の本質的な仕組みなの。

就職のときにこそ、株式会社、業界研究を

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CPAみゆき
さっき、ファーストリテイリングの株価が何百倍にもなったという話をしたけど、今後会社が成長する見込みがあるかは、株式を買う時だけではなくて、就職するときにもとても重要よ。
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としお
どういうことですか?
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CPAみゆき
会社が成長すれば、給料も上がるし、海外進出や新規事業など、いろんな仕事ができる可能性が広がるわ。
逆に会社が衰退して行けば、給料が下がるし、課長や部長といったポストが少なくなって、競争が激しくなるの。
最悪の場合、会社が倒産することもありえるし。

なので、就職する時にこそ、会社の成長性をしっかり見極める必要があるわ。
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としお
現実は厳しいですね。
特に今は新型コロナで会社の業績が落ちているって言うから。
僕らが就職する頃にはどうなっているんだろう。
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CPAみゆき
そうね。
だけど、Amazonのように、新型コロナを追い風に、逆に業績を伸ばしている会社もあるわ。
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CPAみゆき
としおくんはまだ高校1年生で就職まで時間もあるから、将来の進路をしっかり考えて、これからどんな業界が伸びていくかを研究するといいわ。
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としお
わかりました。
会社のこと、少し勉強してみるようにします。

まとめ

  • 株式会社は、投資家(出資者)と経営者が分離した形態で、世の中の大半の会社は株式会社
  • 広く資金調達を行いたい場合は、証券取引所に上場する。証券取引所に上場した会社を上場会社という。上場会社の信用力は高く、就職でも人気
  • 株式会社は、株主に出資してもらう見返りとして、配当を行う。
  • 上場株式は、市場での人気等で、金額が上がったり下がったりする。投資額が何百倍にもなるケースも。代わりに、会社が倒産すれば、ゼロになることもある。
  • 就職先としても同様で、会社がどんどん成長していく場合もあれば、衰退するリスクもあり、給料などはそれに左右される。
  • これからどんな会社や業界が成長するか、見極めが必要。

保護者の方へ

ご自身の若いころは、どのような業種や会社が就職で人気があったでしょうか。今人気の会社が将来ずっと成長し続けることはまれで、時代とともに変遷していくのはご存じのとおりです。ぜひお子様と、若いころはどのような業種や会社が人気があったか、今後、どのような業種が伸びそうか、といったことをお話してみてください。

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