「将来は何になりたいの?」と親や先生に聞かれても、そもそも大人と話す機会があまりないし、どんな仕事が自分に向いてるのかピンとこない・・・。このコーナーは、そんな高校生たちが進路を選ぶ時の参考になれば、との願いから誕生しました。

ゲスト:木村朋子さん 
職業:産業医

「わたしのしごと」インタビューお2人目のゲストは、産業医としてご活躍中の、木村朋子さんです!

持病がきっかけで医師を志す

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ひさみん
木村先生、この度はインタビューにご協力いただいて、本当にありがとうございます!まずは、どんなお仕事をしているのかお聞かせ下さい。
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木村先生
私は企業で産業医をしています。産業医というのはいわゆる職場にいるお医者さんです。昔はあまり知られていませんでしたが、最近ではドラマの題材にもなったりして、ご存じの方も多いかも知れませんね。
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ひさみん
どうしてこの仕事を選ばれたのですか?
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木村先生
私は元々は音楽家になりたいと思っていたんです。高校も、音楽の単位が沢山取れるような公立高校に進んだんですが、その中で生まれつきあった口唇口蓋裂という障害の為に、このまま楽器を続けても限界があることに気づいてしまって。
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ひさみん
それはショックだったでしょうね!
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木村先生
そこから、他にやりたいことってなんだろうって考えた時に、自分が小さい頃からこの障害でお世話になってきたお医者さんのことが頭に思い浮かんだのです。

お医者さんたちが、同僚や看護師さん達と協力しながら、患者さんのためにチームで頑張っている姿に惹かれまして、そうだ、この仕事があるじゃないか!と、お医者さんになりたいと思うようになりました。
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ひさみん
高校生の段階で、しっかり将来を考えられていたんですね。

最初は不本意だった「産業医」という選択肢

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木村先生
理系科目は大の苦手でしたし、親は塾に行かせるお金はない、と言うので自力で勉強しましたが、あえなく撃沈して、1年は浪人させてもらいました。

浪人が決まった日に、このまま一人で勉強していても限界がある、と思っていたところ、たまたま読んでいた新聞で近くの医進系予備校の折り込みチラシを見つけて試験を受け、特待生で通うことが出来ることになりました。まあ、この特待も一度遅刻してしまって、途中で終了してしまったのですが、何とかそのまま通わせてもらいました。
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ひさみん
産業医を選ばれたのは、何か理由やきっかけがあったのでしょうか。
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木村先生
産業医になったのは、この予備校で受験先を相談したところ、金銭的補助がある学校として、防衛医科大学、自治医科大学と共に産業医科大学を紹介され、体力ないから防衛は無理かな、都会で自治は合格厳しいかな、と消去法で残った産業医科大学に入学することになったからです。
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ひさみん
受験校の選択が、仕事の選択に直結していたんですね。
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木村先生
もともとは、産業医になんか、なりたくなかったんですよ。病院であったお医者さんたちに憧れて医学部に入った訳ですから。でも、まだ教養科目しか始まっていない1年生の時点で、最前線で活躍している産業医の先生がバンバン来て、それはそれはキラキラした様子で、いかに今の仕事がやりがいがあるかを話して聞かせるような環境だったので、自然と産業医も悪くないのかもなあ、と思うようになりました。
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ひさみん
なるほど…
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木村先生
そして、私の場合は田舎暮らしが性にあわなくて、とにかく都会に戻りたいと思っていて、そのためには産業医になるしかなかったので、産業医を要請するコースに進んだのです。あんまりかっこいい理由じゃないですね。

長いスパンで企業全体の健康に関われる、産業医の魅力

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ひさみん
産業医の仕事はやってみてどうですか?
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木村先生
産業医は職場の人の顔を知っていて、上司も知っていて、仕事の内容も知っています。 

その中で、体調に変化があったら本人だけでなく環境に対して対応出来るというのが面白みだと思いますね。
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ひさみん
他に、魅力を感じるところはありますか。
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木村先生
患者さんの様々な側面を知ることが出来るのも魅力のひとつです。たとえば素朴でたどたどしくて心配な感じのある社員が、実はそのぼくとつさが誠実さと受け止められてお客様から絶大な信頼を得ていたりするのを聞くと、本当に嬉しい気持ちになります。

また、長いスパンで患者さんと付き合える、見守れるところも好きですね。例えば、10年前に幼さもあって体調を崩した社員が、今は後輩も出来、家族も出来て頑張っている姿を見ることができるのは、この仕事ならではの醍醐味です。
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ひさみん
それはやりがいがありますね。
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木村先生
また、産業医の仕事というのは、一人の社員だけでなく、全体に働きかけて、結果として一人ひとりが健康になることを目指す仕事でもあります。

例えば同じ人でも、周囲がみんなふくよかな環境にいる場合と、そう出ない場合とで、その人自身の体格が変わってしまうなど、環境が人に与える影響は思いのほか大きいのです。
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ひさみん
個人個人の健康だけでなく、会社全体にも関わっていくわけですね。
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木村先生
ですから、多くの人が健康的に行動出来るように、保健師さんと協力しながら健康教育などの啓発活動もしているんですよ。

準備が結構大変なんですが、社員から「先生の話を聞いて、ヤバい、今日からちゃんと睡眠時間天引きしようって思いました!!」って言われたり、健診結果が去年より改善していたりすると、やって良かったなと思います。
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ひさみん
それはうれしいですね。
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木村先生
それから、高校生の時には思いもしませんでしたが、年頃になり結婚し子供をもつようになると、家庭との両立を突きつけられます。

とくに女医さんの場合は出会いも少なく、職場婚が多いので、夫さんを頼るという選択肢はほぼないと考えた方がよいと思います。

私も最初は臨床医がやりたいなと思っていましたが、今となっては当直がなく、平日を中心とした勤務の産業医は仕事と家庭の両立もしやすく、自分にはあっていたと思いますね。
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ひさみん
これからやりたいことをお聞かせ下さい。
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木村先生
社会に健康的なライフスタイルを大切にする雰囲気が広がってきたこともあって、社員の健康意識は年々高まってきていると感じます。

これからは個人だけでなく、健康を大切にする職場風土を根付かせていきたいですね。社員の皆さんが自律的に健康になるような職場を目指したいものです。そして、そういった流れに乗らない方に対しても寄り添って、支援して行けるようでありたいと思っています。
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ひさみん
木村先生、今日は産業医のお仕事のことがよくわかりました。お話しいただきありがとうございました。
経済産業省が取り組んでいる、健康経営で、従業員の生産性を上げよう、と言う社会的な取り組みにもつながるものがありますね。
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木村先生
確かにそうですね。こちらこそ、本当にありがとうございました!