こんにちは、本・人出会いクリエイターのまるこです。
今月も、高校生のみなさんに読んで欲しい、そんな1冊をお届けいたします。

東大卒・BCG・アクセンチュア・INSEAD…華々しいキャリアを築いた著者が教える、読書の戦略。

今月ご紹介するのは、三谷 宏治さんの『戦略読書 〔増補版〕』( https://amzn.to/36LXzte )です。

三谷 宏治さんといえば、東大を卒業して、ボストン コンサルティング グループ(BCG)、アクセンチュアでバリバリのコンサルタントとして働き、INSEAD MBA卒業、現在は大学教授や著述家として活躍する、華々しい経歴の持ち主です。

私が三谷さんと出合ったのは、『観想力―空気はなぜ透明か』( https://amzn.to/38OEfOB  )という一冊。空気がなぜ透明か?なんてそれまで考えたことがなかった私にとって、衝撃の視点を与えられ、驚きを隠せなかった思い出があります。

そんな、キレッキレの三谷さんは、本好きでも有名。取材などで、たま~にご自宅の書斎の写真などを見る機会があるのですが、家中、本だらけ。『戦略読書 〔増補版〕』では、三谷さんの本の選び方、書斎の作り方、読書ポートフォリオの考え方など、贅沢に、「ここまでか!」とうなるほど丁寧に紹介されています。だって、文庫なのに544ページもあるんですよ。この本、本好きの皆さんにとっては、大満足の1冊となること請け合いです。

本が大好きな皆さんにこそ、読む本の「ポートフォリオ」を考えてほしい。

この本は、社会人になり立ての方々を対象読者層として据えていますが、「高校生.com」の読書好きの皆さんには是非読んでほしい1冊です。

ただ漫然と、目の前にある字を読みこなしていくエンタメとしての読書ももちろん必要ですが、頭の中に、自分の「読書ポートフォリオ」を入れておくことで、これから戦略的に読書という行為に臨めることになるからです。

どのようにポートフォリオを作るの?

では、具体的にポートフォリオの作り方を見ていきましょう。先述のように、この本は社会人1年目〜を対象にしており、三谷さんは、読む本を下記4つにグループ分けしています。

①ビジネス基礎(少数・徹底攻略)
②ビジネス応用(多数・ファクト集中)
③非ビジネス基礎[SF・化学・歴史・プロ](多数・楽しく雑学)
④非ビジネス新規(少数・流行チェック)

社会人1年目の方は①ビジネス基礎で、ビジネスの「古典」「骨太本」にじっくり向き合い、だんだん年数を重ねるにつれ、ビジネス系と非ビジネス系のバランスを変えてバランスをとろう、と提案しています。

高校生・大学生の皆さんは、まだ①・②のビジネス系は必要ないかもしれませんので、どんどん③・④の非ビジネス系を読んで、自分の頭の中の引き出しを増やしていきましょう

非ビジネス系、まるこからのオススメは『火星の人』

非ビジネス系は、[SF・化学・歴史・プロ]などの、いわば「仕事には直結していないけど、自分の人生を豊にしてくれるもの」だと解釈しています。特に私からオススメしたいのはSFです。

ありえない環境設定(たとえば宇宙に行くとか、時空が歪むとか)に置かれた人間が描写されています。実際には起こりえない環境を、エンタメとして楽しみながら、「私だったらどうするだろう?」と空想を巡らせることができるのがSFです。

私からのオススメは、本書にも紹介されている『火星の人』。映画にもなったので、ご存知の方もいるかもしれません。

とにかく、読んでいるだけで超ポジティブになれる!主人公は植物学者&宇宙飛行士。火星でのミッション中、とあるアクシデントで、一人だけ火星に置き去りになってしまいます。火星の遥か遠くまで、過去に使われていた地球との通信用機器を取りにいき、やっとの思いで復活させ、NASAに通信を試み…、一時は死んだと思われていた主人公が生きていた!との知らせに全米ならぬ全世界が大注目。もちろん救出に向かうわけですが…助けが来るまで数年間。水もない、食料もない、どうしよう!ってことで普通ならパニックになっちゃいそうなところを、主人公は、「今日は疲れたのでもう寝ます」と日記に記して寝ちゃうんです。いやぁ、アッパレ。私にはここまでの精神力はないなぁ、と感心しつつ、いざ一人火星に置き去りにされたら、私も火事場の馬鹿力を発揮できるんだろうか、とか妄想してしまいます。

三谷さんにお勧めされなければ手に取らなかった1冊。上下巻ですが、本当に主人公の語り口がおもしろく、サクサク読めるので是非手に取ってみてください。

巻末の「セグメント別ブックガイド」もまたおもしろい

私が購入する本は、人からのオススメだったり、本に参考文献として紹介されていたりする本(まさに、本が本を呼ぶ!)が多いです。特に、私が大好きな著者の方がオススメされる本の中でビビビッときたものは迷わず購入しています。

この本の巻末には、「セグメント別ブックガイド」として、なんと三谷さんからのオススメ本が519冊も紹介されていて、これだけでお腹いっぱい!な状態。もし、次に何を読もうか迷っている方は、「セグメント別ブックガイド」を手に入れるためだけでも、この本を買う価値があるかも!