「教養」「学ぶ」ってなんだろうね?
こんにちは、本・人出会いクリエイターのまるこです。
今月も、高校生のみなさんに読んで欲しい、そんな1冊をお届けいたします。
早速ですが「教養」とは。広辞苑の意味を抜粋すると、
①教え育てること。
広辞苑
②(culture イギリス・ フランス・Bildung ドイツ)学問・芸術などにより人間性・知性を磨き高めること。その基礎となる文化的内容・知識・振舞い方などは時代や民族の文化理念の変遷に応じて異なる。「―のある人」「―を高める」「人文主義的―」
とある。
ふむ。多分、私たちが一番に思い浮かべる意味は、②の「学問・芸術などにより人間性・知性を磨き高めること」なのではないでしょうか。
高校生.com読者の皆さんは、普段、高校に通って勉学に励んでいる人が多いのでしょうか。もしくは、高校生を持つお父さん、お母さんが読んでくださっているのでしょうか
どんな世代にせよ、「学ぶ」意義について、一度は考えたことがあることと思います。
- 勉強ってなんで必要なの?
- 大人になったら、学ぶことをやめて仕事だけしていればいいの?
こんな、「無限ループ」にも見える問いに対するヒントをくれるのが、今月紹介する戸田山和久さんの『教養の書』( https://amzn.to/2WtUFVo )です。

「教養」とは、一体なんなのかしら。教えて、戸田山先生!!
著者の戸田山和久さんは、1958年東京生まれ、東京大学大学院 人文科学研究科の博士課程を修了され、現在は名古屋大学院 情報学研究科の教授をされています。
…っとここまでの経歴を聞いて「うへぇ、そんな超絶アタマのいい人の本、難しそうで読めないよ!」と思ったそこのアナタ!ちょっと待ってください。この本、めっちゃ面白いですから。
冒頭の文章を引用しましょう。
『これから教養について一席ぶつわけだ。なんせ『教養の書』だから。だけど、教養について語るのはひどく難しいことなのよ。しかも危険。だから、本音を言えばイマイチ気が乗らないんだ。とりわけ、尊敬すべき偉大な(略して尊大な、とも言う)某先達に「教養なし」と痛罵されたばかりだし。』
『教養の書』P.7より引用
ね。「面白そうだな」ってちょっと思ったアナタは、この本、ぜひ読んでくださいね。最初から最後まで一貫して、戸田山さんの語り口調で書かれているから、まるで戸田山さんの授業を聞いているような感じでサクサク読めますよ。
だめだ、ブックレビューを書くつもりで本を開いたら、読み始めてしまった・笑。いやあね、この本、本当におもしろいんですよ。今も、ブックレビューを書くつもりで再び本を開いたら、読み始めてしまいました。あちゃ〜。
「学び」は自己を表現するためのもの、だと私は思う。
本屋さんに行くと「30日で英語ペラペラになる!」とか、とにかく、無駄を省いて時短で身につけちゃおう!というコンセプトの本が多いことに気がつきます。
でも、ちょっと待って。この本を1冊買って30日間取り組んで、みんなが英語ペラペラになるんだとしたら、今ごろ、日本は英語ペラペラな人で溢れかえってるんじゃないの!?と、思いませんか?
皆さんが思う、「英語ペラペラ」って、どんな状態でしょうか。
①海外に旅行に行って、必要なことが話せればいいのか。
②ビジネスの場で交渉ができればいいのか。
③(これは私が最も難しいと思っていることだけれど)自分の思いを、母国語と同じくらいきちんと表現できるようになることか。
もし、③なのだとしたら。母国語である日本語であっても、100%、自分自身の考えていることを正しく言葉に表すことすら難しいのに。そう思いませんか?
そう、「学び」って、英語や会計を勉強することだけを意味するんじゃないんです。30日で身につけられる何か、でもない。
私は、『教養の書』が教えてくれる「教養」とは、「自分という人間がどういう人間であるかを、世の中に伝えていくためのツールである」と感じました。
まだ不老不死の薬が発明されていない2020年。私たちの未来の中でただ一つはっきりしているのは「死ぬ」ということ。
じゃあ、私たちは何のために生まれてきたのか?と思いを巡らせてみる。私が考える「生まれてきた意味」は、「自分という人間の存在を周囲に知らしめていく、後世に伝えていく」ことなんじゃないかな、と。
後世に伝える・残すためには、自分の考えたこと、やってきたことを正確に伝える必要がある。だから、語彙力だったり、歴史の知識だったりが必要になる。そこで、私たちは学ぶ…だからこそ、「教養」や「学び」には終わりがないんです。
机に向かって書いたり、暗記したりすることばかりが「学ぶ」だと思っているなんて勿体ない。「学び」はあなたを表現するためのツールだと考えてみて。今日から、学ぶことがうんと楽しくなるはずです。