こんにちは、本・人出会いクリエイターのまるこです。
今月も、高校生のあなたに読んで欲しい、そんな1冊をお届けいたします。
Contents
自分の「死ぬ瞬間」を想像したことがありますか?
最初から、かなり唐突な質問でしたね…。
平均寿命が男女ともに80歳を超える、ここ日本。
高校生のみなさんからしたら、およそ60年後に訪れる「80歳」という年齢は、遠い遠い先のことのように思われるかもしれません。
「自分が死ぬ瞬間なんて、まだまだ先だよ」
そう思われている方が大半だと思います。
だけど、もしも、明日、予期せぬ事故や事件に巻き込まれてしまったとしたら?
未曾有の大災害が起こったとしたら…?
必ずしも、「あと60年は生きられる」わけでは、ないんですよね。
私たちは、生きている限り、常に「死」と隣り合わせなんです。
『死ぬ瞬間の5つの後悔』

そんなことに思いを巡らせている頃に出会ったのが、『死ぬ瞬間の5つの後悔』。
著者はオーストラリア出身のブロニー・ウェアさん。
当時銀行員として働いていた彼女は、毎日、同じ場所で同じ時間働くというライフスタイルに違和感を覚えました。
そして、「家賃をかけずに、自由に生きたい」という自分の中で眠っていた願望に気づき、在宅での仕事を見つけます。
そのお仕事とは、今ドキの「リモートワークで会社員として働く」といったものではなく、「死が近づいた患者の末期ケア」でした。
本書では、ブロニーさんが実際に看取ってきた患者さんたちが死を直前にして話した、「人生で、これをやっておけばよかった」という後悔の言葉を、知ることができます。
では、『死ぬ瞬間の5つの後悔』とは?
タイトルにもなっている『死ぬ瞬間の5つの後悔』とは、
「自分に正直な人生を生きればよかった」
「働きすぎなければよかった」
「思い切って自分の気持ちを伝えればよかった」
「友人と連絡を取り続ければよかった」
「幸せをあきらめなければよかった」
の5つです。
もしかしたら、読んで、心臓がキュッと掴まれるような感覚になった方も多いのではないでしょうか?
人生は1回きり。だから、自分に嘘をつかず、正直に生きる。
先ほど紹介した5つの後悔。
私は、高校生の皆さんより少し長く生きているだけですが、それでも、「あぁ、あのとき、ああすればよかったな」と思うことが本当にたくさんあります。
学生時代を振り返って思い出すのは、こんなこと。
- あのとき、あの子に好きって言えばよかったな
- もっと勉強していればよかったな
- もう一回大学受験からやり直したいな
- 学生の頃から、もっと自分の人生について主体的に考えていればよかったな
思い出せばキリがありません。こんなふうに、当時のちょっとの後悔が、今の私の人生を形作っています。
でも、みなさんには、せっかくだから、全部やってみてほしい。
人生、やった後悔よりやらなかった後悔、というのは本当に正しいです。
ちょっとの冒険、挑戦。もしできるのであれば、「エイヤッ」とやってみてください。
「もっとお金を儲ければよかった」という人はいない。

そして、本の帯に書いてあるフレーズも、また心に響きます。死ぬ間際に「もっとお金を稼げばよかった」「あれを買っておけばよかった」と漏らす人は一人もいないんですって。
確かに、どれだけお金を持っていたとしても。どれだけブランドものに囲まれて過ごしていたとしても、これらは墓場までは持っていけません。
私たちは、「人と人とのつながり」や「自分の心を満たしてあげられること」に時間と、そしてちょっぴりのお金を注ぐべきなのかもしれませんね。
ブランドものなど、他人と比べて優越感に浸ることのできるもの、いわゆる「地位財」に流されまくっていた過去の自分が恥ずかしくなってしまいます…。
死を間際にした人の言葉は、尊い
ブロニーさんがこれまでに看取ってきた、幾人もの人々が残したメッセージ。死を間際にした人々の言葉は、なぜ、こんなにも尊く、すっと心の中に入ってくるのでしょうか。
死を取り扱ってはいるものの、決して、悲壮感が漂う本ではありません。むしろ、読んでいて清々しい。それは、著者ブロニーさんのやさしい観察眼だからなせる業なのかもしれません。…というのも、
- 患者たちが徐々にブロニーさんに心を開いてくる様子
- 年を重ねてスレてしまった心の皮がどんどん剥けて、最後にはピュアな「人間」そのものにかえる様子
が本当に色鮮やかに描かれていて、死に近づく人のお話なのにも関わらず、まるで、命のつぼみが花開く瞬間を見ているようなのです。
世代を問わず、みんなに読んでほしい。そんな本。
私の祖母は、87歳で存命。母は、そろそろきちんと、母の母(つまり私にとっての祖母)を向き合わないと、と考えているようです。
その時のための心の準備になればいいな、と思い、同じ本をプレゼントしました。(母自身も、第二の人生を後悔しないように生きてほしい、という思いも込めて。)
電子書籍は出ておらず、紙でしか読むことが出来ないのも、なんだかアナログであたたかくて好きです。
本との出会いは偶然。いつどこで何が響くか分からないものです。
このブックレビューで、少しでも興味をそそられた方は、ぜひ実際にお手にとって読んでみてください。きっと、大切な1冊になると思います。
それでは、良い読書ライフを!